イングランド代表は才能あふれる選手を揃えながらも、うまくいかないことが多いのはなぜか。今回は、ビルドアップ、ブロック、カウンター、プレスに焦点を当てて、その戦術的な課題を深掘りし、なぜイングランドが期待に応えられないのかを解説します。
ビルドアップの課題
イングランドのビルドアップは、そのままの形で後方から繋ぐスタイルが基本です。ボランチがほとんど横関係のままで前進しないため、斜めの関係や交差させる動きが少なく、マークを外すことができません。また、ジュード・ベリンガムが落ちすぎて前線の枚数が不足し、前進がスムーズに進まないことが多いです。落ちてきたスペースを活用する選手がいなかったり遅れたりするため、効果的なビルドアップができませんでした。
前半の40分前後から、フィル・フォーデンがビルドアップに参加し始め、ベリンガムのあけたスペースに入りプレーすることでボールが回り始めました。後半に入ると、ボランチがサイドバックの脇に落ちたり、センターバックの間に入って3バック化するなど、変化を生み出す動きが見られました。52分には、サカの裏抜けに対するアーノルドからのロングボールでチャンスが生まれました。これは、アーノルドを起用する意図がこの試合で初めて出た場面です。
ギャラガーがアーノルドと交代することでビルドアップが活性化し、ボランチがサカにサポートする動きが増え、サカの良さがより引き出されるようになりました。更にはケインに代わりワトキンスが入ることで、背後へのランニングが増え、攻撃にアクセントを加えました。
ブロックの問題
イングランドのブロックは4-4-2を基本としていますが、トップ下のベリンガムが前に出るか、低い位置に入って4-5-1になる場合や、サカが前に出て4-3-3になる場合もあります。このように臨機応変に見えますが、一貫性がなく、選手個人の判断に頼っているため、効果的な守備ができていません。
カウンターの欠如
前半では、失った後にプレスをかけることがなく、ショートカウンターはほぼ見られませんでした。後半に入ると、ギャラガーが中心となってプレスをかけ、個の質によるカウンターが何度か見られました。サカがサイドの高い位置に残ることでターゲットになる場面もありましたが、全体的に距離感が悪く、ショートカウンターはほとんど機能しませんでした。
プレスの課題
ベリンガムが積極的にハイプレスをかけましたが、ほとんどの場面で連動がなく、中盤にスペースが空いて簡単にプレスを回避されてしまいました。特に前半19分のフォーデンによるプレスのシーンでは、後方を確認しながら味方にプレス指示を出している姿が見られ、連動性の欠如が明らかになりました。後半からはフォーデンが前気味に残り、強度の高いプレスをかけるようになり、ギャラガーが加わることで連動する場面も増えましたが、奪った後の守備ができない要因として全体の距離感が悪いことが挙げられます。
ゴールシーンの分析
デンマークの17番がカイル・ウォーカーを見逃し、ボールを奪われてクロスを入れられ、偶然相手に当たったボールがケインの前に転がり、得点となりました。これは、正直なところ運が良かった得点です。
結論
イングランド代表が抱える課題は、戦術の一貫性と連動性の欠如にあります。ビルドアップ、ブロック、カウンター、プレスの全てにおいて、一貫した戦術と選手間の連携が求められます。次の試合では、これらの課題を克服し、より効果的なプレーを期待したいところです。
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